今SNSなどで話題のフィルムカメラ、「Kodak M38」。イエロー・レッド・ブルー・ブラックなど多彩でおしゃれなデザイン性と軽量性を兼ね備え、手軽にレトロな写真が撮れる日本でも話題になっているカメラです。今回はスペックから使用方法、実際にキャンプで撮った写真を交え、簡単にレビューしていきます。
フィルムカメラ 「Kodak M38」とは

「Kodak」とはアメリカ発祥の、世界最大級カメラメーカーです。
アメリカや日本はもちろん、韓国で爆発的な人気を持ち、ファッションの一部として持っている方も少なくありません。
その中でも人気を博す「Kodak M38」は、多彩なカラーリングでデザイン性が高く、手軽にレトロな写真が撮れるフィルムカメラです。
今回は、そんな「Kodak M38」のスペックや使用方法、スマホとの比較写真を交えてレビューをしていきたいと思います。
「Kodak M38」のスペック

まずは、人気モデルである「Kodak M38」のスペックを見ていきましょう。
使用フィルム | 135フィルム(35mmフィルム) |
搭載レンズ | 31mm(1枚構成) |
レンズ絞り | F10(固定絞り) |
撮影可能距離 | 1m〜∞ |
シャッター速度 | 1/120秒 |
ファインダー視野率 | 70% |
使用電池 | 単四アルカリ乾電池1個使用(※電池は付属させておりません) |
本体材質 | ABS樹脂 |
本体サイズ | W114mm×H63mm×D35mm |
本体質量 | 約119g(フィルム、電池含まず) |
スペックはこのようになっています。普段は一眼レフで写真を撮る私ですが、「Kodak M38」を実際持ってみると想像以上に軽く、カバンやポケットなどに入れて気軽に持ち運べるほどの軽さです。
レンジ絞りはF10と、多少暗くはありますが、フラッシュの性能が従来モデルより向上し、特に気になるほどでもありません。
それでは、スペックを確認したところで、早速使用の手順も見ていきましょう。

「Kodak M38」の使用方法

今回は同じKodak製のフィルム、「Kodak ULTRAMAX400」を使用していきます。

まずは、本体右側側面にあるレバーを下げて、裏蓋を開けましょう。

そのままではフィルムが入らないので、上部にある巻き戻しクランクを上に上げてから、フィルム本体の凸が下に来るようにはめ込んで、巻き戻しクランクを元に戻します。

フィルム本体から、フィルムを引き出し、上下の穴をマガジン(カメラ本体右側にある柱のようなもの)の突起と噛み合わせましょう。

しっかりとギアと穴が噛み合っているのを確認したら、カメラ本体裏側の右上にある巻き上げダイヤルを回して、フィルムを平らにしてから蓋を閉めます。

巻き上げダイヤルを止まるまで回し、シャッターを押すという流れを繰り返し、シャッターボタンの下にあるカウンターが「1」になれば撮影準備完了です。

フラッシュを使用するときは、下部に単四電池を一本入れ、前面右側にあるレバーを右にスライドすることでフラッシュ撮影ができます。
それではキャンプ場で実際に撮影をしてみたので、スマホと「Kodak M38」で撮った写真を見ていきましょう。
スマホと「Kodak M38」の比較写真


撮影したのは北海道道東にある、RECAMP摩周というキャンプ場。10月下旬にはそれはもう見事に葉が赤く色づいています。
1枚目の写真は「iPhone12Pro」、2枚目の写真は今回ご紹介している「Kodak M38」での撮影です。
携帯での写真だと紅葉の主張がすごいですが、Kodakの写真だと青空のくすみ加減が強く、綺麗に紅葉を引き立たせています。この色合いと自分が写っているのも相まって、僕のお気に入り写真です(笑)
テントの中の色合いはベージュに統一していますが、携帯に比べてKodakの方が淡く写っており、レトロな写りが綺麗にベージュの統一感をまとまっていますね。


こちらはテント内でとった写真です。最近手に入ったトヨトミストーブちゃんがさりげなく写っている感じがエモいですね。
携帯の写真だとどうしても光を取り込みやすく全体が明るくなってしまいますが、Kodakのこの日陰と日向が明確に写り込んでいるのがレトロ感を生み出しています。
携帯では撮れない、絶妙に若干暗めな写真が落ち着いた雰囲気を出してくれている一枚です。携帯の写真の奥に写っている場違いな青い灰皿が、隠したはずなのに写り込んでいるのは見なかったことにしていただければ幸いです…。


縦写真も試してみましたが、これは個人的にかなり気に入っている写真です。ただ縦で撮っただけに見えるかもしれませんが、見ていただきたいのは空と地面です。
先ほどの写真のように空が淡く、鮮やかに映り紅葉を引き立たせているだけでなく、地面の木の影が濃く映ることで日向との立体感を生み出しています。
携帯で撮影して、仮にこのように加工するとしてもどれだけの苦労が必要なことか…。
ノスタルジックな雰囲気をダイヤルを回してシャッターを切る手軽な撮影をして、現像して確認した時の高揚感をこの写真で感じました。


続いての写真は逆光で撮ってみるとどのように写るのか気になって撮ってみた写真です。これが、非常に面白い。
先ほども記述した通り、携帯は全体の明るさを統一するように撮影されるためこの前の写真のように影の色味が濃く映らなかったりします。
その反対も然りで、太陽の光は太陽を直接映り込ませないと綺麗な日差しが映りにくいというのも携帯の特徴です。
それに比べてKodakは、まさにフィルムカメラで撮ったような日差しと綺麗な陰陽加減が、レトロな雰囲気で写っています。
のちのち、月日が経ってこの二枚の写真を見比べたときに、僕は圧倒的にKodakの写真で撮った方の写真の方が「あ〜、こんなキャンプも行ったよね」と感傷に浸れるような、味のある写真です。
この日差しの写り具合には現像して初めてみた時、正直良い意味でかなり驚きました。


興味本位で焚き火台単体をシンプル特に工夫することもなく撮影してみた写真。
ただ単に焚き火台を撮影しただけなのにこのレトロな写りで、雰囲気を醸し出していますね。
一方、携帯の写真は綺麗に撮れていていいのですが、何か物足りなさを感じます。加工したくなる普通さです(笑)
Kodakは焚き火台の内側の薪焼けした部分も色合い良く撮れておりますが、今回載せた写真をトータルで見ると、携帯の方がやや画角が広く撮れていますね。
Kodakで撮影する際には、気持ちやや後ろで撮影すると広く背景まで撮れるかもしれません。


いよいよ夜になり、焚き火をする時間。どちらもフラッシュを焚かずに撮影したものです。
実際撮影したことがある方はわかるかと思いますが、実のところスマホは焚き火撮影に向いていません。スマホに取り付けるタイプのレンズを装着すれば話は変わりますが、炎が白飛びしやすく、趣がまるでなくなります。
Kodakでは辺りが真っ暗なため、焚き火台は映り込んでいませんが炎が非常に綺麗に写っているので、爆炎で焚火をしたときにはあえてフラッシュを焚かずに撮影すると迫力のある写真が撮れるのは大きな発見です。


まず言い訳をさせてください…。フィルムカメラを生まれて初めて扱ったため、シャッターを切った後すぐに手を動かしてしまったせいでKodakの写真では、焚き火台が斜めに写ってしまっています…。ごめんなさい…。
と、いうことでこちらの写真はどちらもフラッシュを焚いた写真となっています。先ほども記述したように、スマホでは全体を明るく撮影しようとするため、炎が白飛びしていますね。
それに比べ、Kodakでは綺麗に躍動感のある炎が写っています。光が被写体に届く範囲でしっかりとフラッシュを焚けば、このように夜でもレトロな写真が手軽に撮れるのは魅力的です。
この写真が真っ直ぐ撮れていたら1番のお気に入りだったのですが…。手ブレやシャッターを切った直後にはすぐ動かさないように、注意しましょう。
「Kodak M38」の魅力的なポイント
携帯性に優れた軽量性

本体重量は119gと、コンビニのおにぎりほどの軽さで持ち運びに優れた軽さ。
一眼レフはもちろん携帯よりも軽く、カバンに入れてもほとんど重さを感じない軽量性で気軽に持ち運べるのは嬉しいですね。
シャッターを押すだけで撮れるレトロ写真

携帯で撮った写真をレトロに加工すると、ひとつひとつに手間がかかってしまいますよね。これが結構大変な作業です。
それに比べ、ダイヤルを巻いてシャッターを切るだけで、手軽にレトロで味のある写真が撮れるのは「Kodak M38」の大きなポイントと言えます。
使い捨てじゃない長く使えるフィルムカメラ

フィルムカメラといえば、旅先で撮った写真を現像したら本体は使えなくなってしまい、その都度新しいものを買わなければなりません。
しかし、「Kodak M38」は中のフィルムを取り替えるだけで何度も使えるが魅力の一つです。自分が使った「Kodak M38」を、子供が大きくなった時に写真を撮る楽しさを伝えるカメラとしても使うことができます。
使用方法も単純でわかりやすくて子供でも扱いやすいのも、ポイントですね。
「Kodak M38」で気になったポイント
撮影した写真は現像するまで見返せない

「Kodak M38」はフィルムカメラなので当然、撮影してから現像するまで写真を見返すことができません。
携帯や一眼レフでは、撮影した後すぐ見返すことができるので、満足できる画角で撮影することができますが、フィルムカメラではそれができません。そのため、先ほどの焚き火台のように斜めに写っていても、現像するまでは真っ直ぐ撮れたと思っていました…。
「Kodak M38」はそれなりに広画角で撮影できるので、見返すことができずとも満足のいく写真が撮りやすくなっています。手ブレやシャッターを切った直後にはすぐ動かさないように、注意しましょう。
夜間の風景写真には向いていない

フィルムカメラである「Kodak M38」は絞りが固定されているため、夜間での風景写真や大きなものを撮影するのは難しいカメラです。
この問題に関しては、解決することが難しいため、夜間での撮影は避けるのが吉でしょう。
夜間に撮影するときは、被写体にしっかりとフラッシュが届く距離で撮影することを意識して撮影することが大切です。
「Kodak M38」の注意点


フィルムカメラである「Kodak M38」はフィルムを使用して写真を撮影しますが、現像するその時まではフィルムの入っている裏蓋を開けないように十分注意しましょう。
不用意に開けてしまうと、光がフィルムへ当たって、写真に上のような赤い影のようなものが映り込んでしまいます。せっかく撮った写真が台無しになってしまうので、現像するまでは裏蓋を開けないようにしましょう。
そもそも「Kodak M38」で撮った写真を現像するには?

現像は一眼レフや専用機器を使用することで自身でも行うことができますが、やったことのない方や専用機器を持っていない方はお店でお願いするのが間違いありません。
近くに店舗がない場合は郵送でも現像をお願いすることができ、またその店舗によって値段や時間が違いがあります。
私はカメラのキタムラへ直接持っていき、1時間から〜2時間ほどかかりました。店舗にっては1日以上かかる場合もあるとのことなので、事前に確認しておくと安心ですね。
私が現像したカメラのキタムラでの現像では、現像料+写真のプリントかスマホ転送、もしくはその両方で金額が変わってきます。
写真の現像では720円、データ保存には800円がかかり、プリントには用紙サイズによって値段に差があるので、それらも一緒に確認しておくといいでしょう。
デザインも写真もレトロなフィルムカメラ「Kodak M38」

いかがだったでしょうか。携帯や一眼レフがメジャーな今だからこそ手に取りたいフィルムカメラ、「Kodak M38」を紹介しました。
携帯では撮るのが難しい、レトロな色合いが手軽に撮ることができて、デザインも可愛いおしゃれカメラ。
軽くて持ち運びにも長けているので、一眼レフやコンデジを持っていても、重さも気にならず、十分に併用して使うことができます。
カメラを持っている方も、そうでない方も気軽におしゃれな写真が撮れる「Kodak M38」で撮影してみては?